ケミカルチャー・ブログ

化学物資の安全性・危険性についてGHSの専門家の立場から解説します。毎週土曜日17時更新です。

GHSの超ざっくりした説明

GHSについて簡単に説明してみましょう。GHSとは化学物質の通信簿のようなものものです。皆さんも小学生の頃、学期末に通信簿をもらったと思います。先生から受け取ったら、友達と「今回どうだった~?」と見せ合ったりしましたでしょう?

GHSの通信簿は全部で29の項目があります。29科目もあるなんて化学物質は大変ですね。但し、この29という数も暫定的なもので、今後、GHSが改訂されると更に増えるかもしれません。(事実、吸引性呼吸器有害性オゾン層への有害性、鈍感化爆発物という項目はGHS初版にはありませんが、後に追加されたものです。)

通信簿と違うところは、成績が世界中に公表されることです。自分の成績をアカの他人に見られてしまうのは恥ずかしいですが、GHSは誰でも化学物質の有害性について理解できるシステムとして導入されているので、その成績は使用者に伝達されなければなりません。

それぞれの有害性について、以下に書き出してみましょう。

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勿論、いきなり全てを覚える必要はありませんよ。身の回りの製品に表示されている有害性があったときに、都度見て頂ければ自然に覚えられるものです。あとは区分が1、2、3など分かれている時は、若い番号・アルファベットの方が強い有害性である、ことを覚えておきましょう。

例.有害性の度合い

生殖毒性区分1A>生殖毒性区分1B>生殖毒性区分2

 

私たちは新入社員を採用する面接官と思いましょう。面接にやってくるのは化学物質たちです。彼らが一体何者かも分からないのに採用・不採用を決めることは出来ませんよね?そこで彼らの在学中の成績を見る必要があるのです。彼らは工場という名の学校で然るべき製品の形に組み替えられ、社会に放たれます。そこで彼らを使用するか、若しくはしないかの選択は私たち次第なのです。

彼らの成績はGHSという名の通信簿を見れば一目でわかります。非常に成績優秀、つまり有害性が全くないような化学物質もいれば、もの凄いワルで前科10犯、即ち強い有害性を複数もっている化学物質もいます。彼らはヒトではないので外見ではその良し悪しを判断することが出来ません。(現実にも内面はとんでもない悪人なのに外面は良いということも有りますが!)

GHSの知識があれば、成績を見た上で採用・不採用を見極めることができるのです。

 

次回は実例を挙げて、GHSの有害性を検証してみたいと思います。