ケミカルチャー・ブログ

化学物資の安全性・危険性についてGHSの専門家の立場から解説します。毎週土曜日17時更新です。

新型コロナウイルスに効く!?次亜塩素酸ソーダの有害性を検証する②

前回に引き続き新型コロナウイルスに一定の効果があるとされる、次亜塩素酸ソーダの有害性について考えてみましょう。

 

タネ明かしをすると、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は非常にありふれた、ポピュラーな物質であり、現在までにヒトへの影響を示したデータが多く存在しています。ではそのデータはどこにあるかというと、有難いことに厚生労働省「職場のあんぜんサイト」というホームページに公表しています。ここのデータの調べ方は、皆さんが「この化学物質はどんな有害性があるんだろう?」と疑問に思ったときに、すぐに調べることができるので是非ブックマークに入れておきましょう。

 

具体的な調べ方は次の通りです。

①化学物質のCAS番号を調べる

「CAS番号ってなに?」と思われるかも知れませんが、大丈夫です!簡単に言えば化学物質のドライバーライセンスの番号です。ライセンスの番号は絶対に重複しない様にできていますね?あなたの番号を他人が使っていると、身分証明書になりませんものね。CAS番号は化学物質の重複しない身分証明番号なのですね。(例外は多々ありますがここでは省略します!)。

大抵の化学物質のCAS番号は、Wikipediaにも載っています。勿論、Wikipediaなので信憑性は100%ではないですが、メジャーな化学物質であれば間違えていることは非常に稀です。

試しに次亜塩素酸ナトリウムをググってみましょう。

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CAS登録番号が載っていますね。「7681-52-9」です!

ではCAS番号から彼の有害性を確認してみましょう。

②「職場のあんぜんサイト」にアクセス

上記のサイトにアクセスしましょう。右側の「GHSモデルラベル・SDS情報」に進みます。

③検索ボックスに調べたい化学物質のCAS番号を入力し、検索します。今回、次亜塩素酸ナトリウムのCAS番号「7681-52-9」を入力します。

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④モデルデータシートとモデルラベルを確認

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次亜塩素酸ナトリウムの有害性を見るには、このデータシートまたはラベルをクリックします。データシートには有害性の他、取扱に関する詳細な情報が載っていて、ラベルには最低限必要な情報が載っています。データシートが電化製品の取扱説明書とするなら、ラベルはクイックガイドの様なイメージでしょうか。今回は初めてなので、ラべル、つまりクイックガイドの方にしておきましょう。

 

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ラベルが確認できました。おやおや、幾つかマークが付いていますね。危険有害性情報を見ると、皮膚や眼に対して強い損傷を与えたり、水に流すと水生生物に悪影響を与えることが分かります。

更にデータシートを見ますと概ね5%程度から刺激性または腐食性を呈することが分かっており、今回は約0.05%の水溶液を調整しましたので、5%を100倍にも薄めた水溶液では殆ど影響が無いだろうということは実は予想が付いたことだったのです。お魚への影響も100倍に希釈すればほぼ無くなると考えられます。

 

以上の様に、化学物質の有害性を知ると、その化学物質をどのように扱えばいいかも、どのくらい避ければいいかも分かる訳なのです。

よくわからずに「次亜塩素酸ソーダって危険なものだから、安全な次亜塩素酸水を使おう!」と考えるよりも、「一定まで希釈すれば次亜塩素酸ソーダは有害性がないし、次亜塩素酸水よりずっと安価かつ効果も実証されているんだからいいよね」と考える方が理性的な気がしませんか?

 

*このブログは化学物質の安全性と危険性を一般の人にも知ってほしい気持ちから立ち上げました。ご自身は勿論、身の回りの方で化学に詳しくない方がいらっしゃいましたらシェアよろしくお願いします。

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