ケミカルチャー・ブログ

化学物資の安全性・危険性についてGHSの専門家の立場から解説します。毎週土曜日17時更新です。

殺菌力が期待される過炭酸ナトリウムの有害性について調べよう②

前回からの続きです。

では過炭酸ナトリウムの有害性について調べてみましょう。

過炭酸ナトリウムと過酸化水素の付加物のCAS番号は「15630-89-4」です。CAS番号とはなんだったでしょうか?そう化学物質の背番号ですね。

こいつの番号を職場のあんぜんサイGHSモデルラベル・SDS情報で検索してみると、、、残念ながらヒットしませんね。

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(「GHSってなに?」という方はこちらの記事をご一読ください)

(「GHSモデルラベル・SDS情報ってなに?」という方はこちらの記事をご一読ください)

では、炭酸ナトリウムと過酸化水素をそれぞれ調べてみましょう。

炭酸ナトリウムを検索してみると、

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ありました。炭酸ナトリウムのモデルラベルをみてみましょう。

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眼に入ると危険なことが分かりますね。他にも吸入した場合や、呼吸器官への刺激のおそれがありますが、洗浄剤としては水に溶かして使用するので問題ないでしょう。

 

次に過酸化水素を検索してみると、

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ありました。過酸化水素です。それでは同じようにモデルラベルを見てみましょう。

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なかなかの有害性のラインナップですね。

皮膚に触れても有毒、皮膚や眼に対して損傷を起こす腐食性もあり、発がん性の疑いまであります。毒性データをきちんと読むと、発がん性は小動物試験でデータがあり、ヒトに対しての有害性は不明と書いてありますが、恐れがある以上は出来るだけ触れたくはない化学物質ですね。

 

結論として、NITEの過炭酸ナトリウムの調査の結果、新型コロナウイルスに対してどの様な効果が期待できるのか、現時点では分かりませんが、取扱には少々注意が必要な化学物質であることがお分かりいただけたと思います。

さりとて過炭酸ナトリウムは、家庭でも色々な所に洗浄剤として使用される化学物質なので、取り扱う際にはゴム手袋を付けて、洗浄後はキチンと水で洗い流すという作業を徹底しましょうね。

 

*このブログは化学物質の安全性と危険性を一般の人にも知ってほしい気持ちから立ち上げました。ご自身は勿論、身の回りの方で化学に詳しくない方がいらっしゃいましたらシェアよろしくお願いします。

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