ケミカルチャー・ブログ

化学物資の安全性・危険性についてGHSの専門家の立場から解説します。毎週土曜日17時更新です。

【イントロダクション】化学物質ってなんでしょう?

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私は現在、化学メーカーに勤務しています。

専門は化学品の分類と表示に関する世界調和システム(「GHS」と略される)です。

GHSとは例えるならば化学品の取扱説明書の作成ルールの様なものです。取説ですから化学品の情報が事細かに書かれています。この取説は私たちが身の回りの化学物質の有害性について知る上で、読み方さえ知ることが出来ればとても有用なツールなのです。しかし、その存在を知っている方は大変少ない。せっかくのツールなのに勿体ないなぁと思い、筆を執ることとしました。

 

先ず、化学物質とはなんでしょうか?

私たちの吐く息?そうです。それは二酸化炭素という化学物質です。(厳密には主に酸素と二酸化炭素の混合物です)

あなたが今この記事を読んでいるスマホやPC?そうです。電子製品は無数の化学物質の集合体です。

更に正しく言うならば、この世に存在するものはすべてが化学物質の集合体です。あなたが着る服も、あなたが食べるものも、あなたが運転する車も、です。しかし化学物質のことについてはほとんどの方がよく知りません。知らないままに使っています。

 

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あなたはソクラテスを知っていますか?古代ギリシャ最大の偉人の一人です。彼の遺した(正確には弟子のプラトンが言う)無知の知という言葉は、「まず自分が何も知らない人間だと自覚しよう」という意味です。当時のギリシャは民主主義が成熟していく過程で、演説が上手い(弁が立つ)人間が政治家として権勢をふるう、所謂“衆愚政治”になり果てていました。その中で彼ら無知な政治家に対して議論を吹っ掛け、ケチョンケチョンに論破した上で、「我々は無知であるが故に学ばなければならないことを自覚しよう」ソクラテスは説いたのです。

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ソクラテスは政治家らから恨みを買い、無実の罪で投獄され、独房で毒をあおり自死しました。すべての行いを謝罪すれば釈放すると条件を出されたのにも関わらず、自分の信念を貫くために死を選んだのです。

プラトンの著作『クリトン』からの一節です。

“なぜって、いつもそうだったんだけれど、僕はただ倫理的に考えてみて一番善いと思える言論にのみ従う、そういう人間なのだよ。だから、今この時になって、自分自身の言葉を裏切るなんてできないよ。僕が今まで尊敬してきた原則、それはいまだに尊重するに値するものだ。だから、僕たちが他にもっと善い原則を見つけられないかぎり、僕は君には同意できないよ。”

 

化学物質というものも私たちが触れるあらゆるものであるにも関わらず、よく知らないままに使われている場合がほとんどです。人は今日の天気は知りたがり、今日着る服のことに悩み、今日食べるものにはワクワクするのに、今日触れる化学物質のことには概して無頓着になってしまいます。それも当然です。化学は高校から学び始めて、大多数の方が高校卒業と同時に無縁になってしまいますから。

 

ここで一度、化学物質について「無知であること」を自覚して一緒に化学物質について知ってみませんか?ここで取り上げるのはとても身近なもの、例えば洗浄剤、殺菌剤、入浴剤など、身の回りにあるものばかりです。普段身の回りにあるものだからこそ、それについていったいどんなものであるのか、どんな危険性があるのか、もしくは無いのか知ってみたいと思いませんか?

 

*このブログは化学物質の安全性と危険性を一般の人にも知ってほしい気持ちから立ち上げました。ご自身は勿論、身の回りの方で化学に詳しくない方がいらっしゃいましたらシェアよろしくお願いします。

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